新築で段差がないのは当たり前!見落とされている老後対策とは?

バリアフリーの基本は段差を作らないことですが、これから新しく作る住宅は家の中の段差はほとんどありません。では安心かと言うとそうでもなく、いくつか残っている段差を知り対策を取ることが重要です。その段差とは・・・

①階段
②玄関
③勝手口

この3つの具体的な対策と、さらに見落としがちな2つの老後対策について、住宅業界歴20年以上の管理人が解説します。

階段の対策

階段は2階建てにする場合どうしても作るので、可能ならできるだけ1段が低い階段を選びましょう。1段が低い階段はトータルの段数が多くなり家の中の面積を多く取りますが、傾斜も緩くなるためその点でも安全性は高くなります。

手すりは将来に後付もできますが、新築時に付けておいたほうが適切な位置につけられ、しかもデザインも豊富な中から選べることが多くなります。

またL字やコの字の階段にすると、一直線の階段に比べ転落したときに一気に下まで落ちにくく、怪我を軽くできる可能性が高くなります。

玄関の対策

今の住宅は玄関の段差がかなり低くなっていますが、作る住宅会社によって結構違いがあります。もし高いようであれば玄関の上がりに式台という1段を加え、2段で上がるようにする方法があります。

ただしそのぶん玄関ホールを少し広めに取る必要があり、狭小住宅などでは難しいこともあります。この場合はできるだけ玄関の段差を低くできる会社を選ぶようにします。

手すりは他の場所に比べて玄関が広いこともあり、比較的好きな場所に付けられるので後付でも良いと思います。ただしドアやシューズボックスと同じ色の手すりが用意されているなら、新築時に付けてデザインを統一することもできます。

勝手口の対策

勝手口はご家庭によってはひんぱんに出入りするわりに、段差対策がされない場所です。しかも限られたスペースで昇り降りすることが多いため、1段が非常に高くなっています。

対策は2〜3段で室内に上がるプランが多いのですが、段数を増やして1段を低くするのがおすすめです。ただし階段はどれもそうですが段数を増やすと場所を取ります。このため建物に沿って階段を伸ばすなどできるだけスペースを使わない工夫をしながら、1段が浅めの階段を作りましょう。

上の写真で言えば手前の室外機を別の場所に移動し、手前方向に降りる階段にして段数を増やします。

庭の段差や高い木も注意

家の中の段差は解消しても庭の段差は忘れがちです。玄関ポーチの階段はもちろんですがそれ以外でも道路と高低差がある敷地はどうしても庭に段差ができやすくなります。しかも庭は朝露や雨で地面が濡れて滑りやすくなるため、家の中以上に注意が必要です。

対策は段数は多くなってしまいますが1段を浅めに作ることと、ポーチやアプローチを滑りにくい表面仕上げのものにすることです。磨きのかかった石などは避けて、ざらつきのある仕上げのレンガやコンクリートにします。

庭のバリアフリーにどれくらい配慮してくれるかは頼む外構業者さんによってかなり違います。できれば家のプランニングと一緒にある程度庭の計画も立てておくのがおすすめです。家の高さ設定や、玄関ポーチ階段の高さや大きさが庭の段差に影響を与えるからです。

比較的ですが家の設計士の方が、段差の安全な高さやスロープに関しての知識が豊富なので、より安全な庭の計画を考えてくれる可能性が高くなります。外構屋さんの設計士でもそうした知識がある人もいますが、頼む会社次第なので契約前の提案プランでどれくらい丁寧にバリアフリーを考えてくれるかチェックするようにしましょう。

庭のバリアフリーでは段差の他に落下防止のため、高い木は植えないように注意しましょう。はしごから落ちる事故は庭でも非常に多く、地面がコンクリートなどで固いと大怪我につながります。

また歳をとると庭木の手入れが本当にきつくなるので、老後を考えるなら最小限にしましょう。もちろんたくさんの緑に囲まれるのが大好きだという方は植えても良いと思います。しかし歳をとってからお金をかけて庭木を減らして土部分を砂利やコンクリートにその方がいるのも事実です。そうしたケースも想定して庭木を植えましょう。

落下を防ぐ低い収納

家の中の事故で転倒と共に多いのが落下です。総務省消防庁のサイトでも家の中の高齢者の事故として、転倒の次に転落が多いと注意喚起されています。これには階段だけでなく、高い位置の物を取ろうとして台などにのぼって落ちてしまうことも考えられます。

こうした落下事故の対策として、台などを使わなくても届く収納を作るようにしましょう。歳をとると手が上がりにくくなるので、できれば身長までの高さの収納を充実させるのがおすすめです。

もちろん若いうちはそうした危険が少ないため、空間を有効利用するため高い収納を取っても構わないと思います。しかし収納は後で増やすのは簡単ではないので、 歳をとって高い位置に手が届かなくなった時に使える収納も十分に取るようにしましょう。

また1階に大きい物や箱物など、普通のクローゼットには入りにくい物を入れる収納を作っておくのもおすすめです。歳をとって2階のウォークインクローゼットに入っていた物を1階に移動するときに活躍します。外物置を置くのも良いですが、やはり家の中にあった方が移動距離も短く雨でも濡れないので、若いうちから有効利用できます。

歳をとると落ちたり転倒したりしたときに大怪我になりやすく、そのまま寝たきりになってしまう可能性もあります。でできるだけ台を使わずに生活できるような工夫をしましょう。

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