新築の見積もりが契約後に高くなり予算オーバーになったという声は多く、泣く泣く広さや設備、デザインなどの希望を削る方がいますが絶対避けたいですよね。
楽しいはずの打ち合わせをため息ばかりの暗いものにしないために、住宅営業マンを20年勤めた管理人がなぜそんなことが起きるのかと、その防ぎ方をお伝えします。
予算オーバーの3大原因
新築の契約前の見積もりに含まれないことが多いものがあり、それが契約後の予算オーバーを引き起こします。
お客さんは大したことがないと思っている希望や、その土地に建てるための申請や特殊工事、あるいはカーポートや塀などの外構も後出しでは危険です。
ここでは知っておいて頂きたい代表的な3つをご紹介します。
高額なオプションを希望していないか?
まずはオプションですが、お客さんとしてみると大した金額はかからないだろうというものでも、いざ見積もりをしてみたらけっこう高い!というものがあります。
以前、契約したお客さんから床を無垢にしたいという希望が出て、見積もりしたところ数十万の金額になりました。
しかしお客さんからすると「加工をしていない木(無垢でも加工はしてるんですが・・・)を使うのになぜ高くなるのか?」と納得いかない様子で苦情を言われたことがあります。
無垢も木の種類によっては高い物もありますし、ハウスメーカーは普段使っているのと違う物を使おうとすると割高です。
予算ギリギリのお客さんだったので、色々考えた結果あきらめることになりました。
他にも特別難しくはない、凝った注文ではない、だから安いだろうと思っている注文も、作る側からすると高いものはたくさんあります。
特にハウスメーカーは工務店と違って規格外のリクエストは高くなり、契約後に見積もるのは予算オーバーが起きやすいです。
それを防ぐには契約前に小さなことでも相手に伝え、プラン(図面)に反映してもらい、それを含めた見積もりを取ることが重要です。
またA社では安くできてB社では割高だということもざらにあるので、候補の会社には全て同じように希望を入れた見積もりを作ってもらいましょう。
申請費、給排水工事費を調べてもらう
この土地に家を建てるには、特別な申請や工事が必要、ということが建築では多々あるのですが、お客さんは詳しくないので事前に予想できません。
契約前に調べてくれる建築会社なら良いですが、そうでなければ契約後にわかり予算オーバーとなってしまいます。
申請も様々で安く済むものも多いですが、特に農地だと数十万円、場合によっては100万近くかかることもあります。
また給排水工事と呼ばれる、水道を引き込んだり排水を流す先へ繋いだりする工事ですが、場所が遠かったりアスファルトを掘削したりすると、これも100万超えもざらです。
比較的周りに家が少ない場合に高額になることが多いのですが、住宅地でも予想外に費用がかかることもあるので安心できません。
これによる予算オーバー対策は、事前に知識のある人に調べてもらうのが一番で、調査費はかかりますが登記測量会社や設計事務所に頼むと確実です。
ハウスメーカーの中には無料で調べてくれるところもありますが、断りにくくするための作戦なので承知しておきましょう。
またメーカーが設計事務所など専門業者を入れて調べるなら良いですが、営業マンが個人的に調べるのは要注意。
結構いい加減で漏れがあったり、わざと気付かないフリをして契約してから後出しをしたりするたちの悪い者もいるので気を付けましょう。
外構は契約前に見積もり
外構(エクステリア)工事費も契約してから出てきて高くてびっくりの代表格です。
家を建てる会社は打ち合わせの流れで注文をもらえることが多いため、結構強気な金額で見積もりを出してきますが、カーポートや車庫は家ができてから他の会社でやも良いので、しっかり外構の他社とも比較検討しましょう。
気を付けて欲しいのは外構は家の図面が決定しないと、あるいは着工しないと正確な見積もりができないのでそのころに見積もりを取る、というアドバイスです。
地面や建物の高さなどが決まらないので、確かにその通りなんですが、それは工事する業者の視点です。
予算オーバーを防ぐには建物の契約前に、建物完成した時にどれくらいの外構をやるか大まかに決め、概算の見積もりをどこでもいいので取っておくことです。
大きな金額になる、カーポート、門、塀、ウッドデッキ、サンルーム、などを考えているなら絶対に契約前に必要です。
比較的金額の高めなハウスメーカーの営業マンには、外構まで予算を考えられてしまうと安いメーカーに行かれてしまうと考え、契約するまで外構の予算には触れない者もいます。
契約してから金額がわかっても余裕があればいいですが、キツキツの予算だと厳しいですから、家の完成時にやりたいことは必ず契約前に予算を組んでおきましょう。
見積もり比較をして必要な項目と金額相場を知っておく
予算オーバーを防ぐ最重要ポイントは複数の会社の見積もりを取って、どんな項目が必要なのかと金額の相場を知っておくことです。
例えば他の会社の水道工事の金額を知っていれば契約する会社の金額をチェックでき、高かったり抜けていたりすれば質問して納得の上で話しを進めることができます。
ところがこれをやらないで契約してしまい、その後に高額な追加が出てくるので予算オーバーになるのです。
忙しいのならまずは記事の後で紹介しているタウンライフのような一括見積もりサービスを使って3〜5社程度見積もりを集めてみましょう。
そこから気になる会社に絞り込って、自分たちの家でかかる具体な費用(オプション、申請、給排水工事、外構など)を入れた見積もりを依頼すれば、動く時間が最小限で済みます。
とにかく必ず複数の会社の見積もりを取り、必要な項目とその金額相場を知ってから契約に進みましょう。
他社を検討しないで契約してしまう3つの理由と対策
予算オーバーを防ぐだけでなく、値引きを最大限引き出す上でも他社検討は絶対条件ですが、色々な理由で1社しか検討せず契約してしまう方がいます。
家も金額も納得してなら良いですが仕方なくという場合もあります。
その3大原因と対策をお伝えするので、ぜひ予防に役立てて下さい。
希望の引越し時期に間に合わない
家を契約してから引越しできるまでは平均10ヶ月前後、土地の申請や打ち合わせ期間によっては1年以上かかるケースもざらです。
また契約前のどこに頼むかの検討期間は人によりますが数ヶ月かかります。
ところがこに期間を短く予想して動き出すのが遅くなってしまい、希望の引越し時期に間に合わせるのがぎりぎりで、1社だけの検討で契約してしまう方が結構います。
この契約だと完全に建築会社に足元を見られてしまい、逃げられないことを良いことに値引きもおまけ程度で追加も割高という、予算オーバーしやすい典型的なパターンに陥りがちです。
近所で見かけた家の工事が2ヶ月くらいだったので「半年もあれば家ってできちゃう?」と誤解している方がいますが、それまでに半年や1年など申請や打ち合わせにかけていることを、ぜひ知っておいて頂きたいです。
特に農地に建てる人は申請の許可が下りるまで半年や1年かかるケースもありますし、土を盛ったり水道を引いたりする工事も時間がかかるので、1年半くらい前にはどこで建てるか決めておくのがおススメです。
さらにその前にどの会社に頼むかの考える時間も必要でしょうから、農地の方は2年前には情報集めを始めると、ゆとりを持って進められます。
キャンペーンなどであせって契約
メーカーが行うキャンペーンや値引きの締切に迫られて、他社を検討せずに契約してしまう方もいます。
普段の買い物でも期間限定や数量限定に弱い方は注意が必要ですね。
たまたま見学に寄った1社の営業マンに、誘われるまま見学会に参加したりプランを書いてもらったりしている内に、見積もり→キャンペーン提示→契約とトントンと進んでいくパターンが多いですね。
家も悪くはないと思っていて営業マンとウマが合っていると、まいいか!と契約してしまいます。
しかしこのパターンは契約までが短期間なので事前打ち合わせが不足していて、契約後に聞いてない申請費用がかかったり、オプションがどんどん増えたりと予算オーバーになりがち。
この対策は検討の初期段階から複数社を見学したり調べたりと平行して進めることです。
そうすれば一社だけキャンペーンを打診されても、まだ他社の話しを聞いてる最中だからと断る心の余裕が生まれます。
付き合いなどでどうしてもそこで契約しないといけない
仕事上や知人友人などの付き合い、紹介でどうしてもその会社で建てなければいけない、という方もいるでしょう。
これは値引きやサービスをたくさんしてくれて良いことのはずですが、たまにモデルルームに奥さんだけ見学に来て「旦那の先輩の勤める会社に家を頼んだけど、追加が多くしかも高い、どうもボラれている気がする」という方がいます。
またネットの質問サイトでも、この手の質問は非常に多いです。
これは知り合いのところで建てるのが決まっているので、どんな諸費用がかかるか頼む方も頼まれる方も安心しきっていて、しっかり契約前に確かめていないため後から追加が多いことに原因があります。
しかも付き合いがある相手を知っている旦那さんは良いですが、奥さんに面識がないとそもそもそこで建てることに納得してないので、余計に不信感が強くなります。
金額や項目を見せてもらうと決してボッタクリではないことが多いのですが、ちょっと調べれば事前にわかるよな、というのがあるのも事実。
これを防ぐにはどんな費用が必要か契約前にしっかり調べてもらうことが重要です。
知り合いでもかかるものはかかりますから、プランもしっかり複数枚書いてもらい申請などの行政調査もしっかりやってもらい、細かな見積もりを出してもらいましょう。
そして嘘でも「お金が厳しい、ギリギリだ、親にも絶対借りられない」と何度も言うのも効果的です。
まとめ
契約後に予算オーバーになってしまうのは
・高額なオプションだと気付いていない
・高額な申請や水道工事を予想していない
・外構の予算を考えていない
が3大原因です。
これを防ぐには契約前に複数の見積もりを取って、我が家は何がどれくらいかかるかを事前に知っておくことが重要です。
ところが比較検討しないで契約してしまう人がいますが、それはなぜか?
・引越し希望日に間に合わせるため慌てて契約
・キャンペーンの締切りにあせって契約
・付き合いのある相手なので安心し切って契約
をしてしまうためです。
しっかり比較し予算もキツくならないためには、早めに動き出して複数の会社を比較し、かかる費用を事前に把握することが大切です。
以上を参考にぜひ予算オーバーで希望を削る、という最悪の事態にならないよう気を付けて下さい。