注文住宅を建てるならやってみたいことの上位にある吹き抜け。
広くて開放的でスタイリッシュ、というメリットの一方で「寒い」や電気代がかかるという意見も見かけますが、果たして現実はどうでしょう。
我が家は私の強い希望もあってリビング・ダイニングを吹き抜けにしてあります。
そこで実際に住んで感じたメリット・デメリットをお伝えします。
1:吹き抜けのメリット
1-1:開放的で広く感じる
これが全てと言って良いくらい大きいメリットです。
というか吹き抜けをやりたい人はこれを手に入れたい方がほとんどのはず。
おしゃれというのもありますが、とにかく見た目が開放的でひろーく感じるし、しかもスタイリッシュ。
自宅でやってみると天井が高い、というのがこれほどいいとは思いませんでした。
お店で感じるのとは違いますし、リビングが実際の畳数より広く感じます。
また満足感も格別で、建ててしばらくは人に見せたくて仕方がありませんでした。
2階のホールから見下ろせるようにもしたので、上から子供がおーい!なんて楽しそうにやっているのを見ると、やってよかったなと思います。
子供ものびのび育ってくれるかな?
1-2:上下でコミュニケーションが取りやすい
実際に吹き抜けのある家に住んで発見したのは2階とコミュニケーションが取りやすいこと。
うちはまだ小学生なので部屋にこもるということはありませんが、1階から「ご飯ができたよー」なんて声をかけると、2階の部屋まで届いて「はーい」と返事が返ってきます。
また下の階にいても2階で何をしているかなんとなく伝わってきます。
何やらドタバタしてて勉強してないなとか、おもちゃの音で何で遊んでいるかわかったり、兄弟げんかになりそうだな、とかも伝わってきて声をかけたりできます。
歩き方やドアの締め方で気分がわかることもあり、1、2階で一つの空間という感じ。
年とともに距離ができていくでしょうから、様子が伝わってくるのは今後も良いのではと思います。
2:デメリット
2-1:冷暖房の効き
これははっきり言って悪いです。
自宅は断熱材を寒冷地仕様にしましたが、それでも冷暖房が部屋中に効いてくるまでとにかく時間がかかります。
待ちきれない性格の方は冷暖房機器を多めに設置しましょう。
我が家は床暖房をプラスして冬はガンガン使ってますがそれでも遅い・・・
そのため高気密高断熱の家にするのは大前提です。
一度関東基準の断熱材で造った吹き抜けのお宅に冬にお邪魔したら、我が家に比べすっごく寒かったのを覚えています。
ちなみにランニングコストは冬場で20,000円から25,000円の間、夏場は15,000円から20,000円の間くらいです。
昼間いることが多くて夜も遅い生活な上に、吹き抜けで床暖房もある築10年の家としては優秀な方だと思います。
(新築当時は冬場15,000円夏場10,000円だったが、子供の成長とともにどんどん上がってきて恐ろしい。)
2-2:下の音が聞こえてうるさいときも
これはメリットでお話しした「上の様子がわかる」の裏返しで、2階にいると1階の話し声やテレビの音などがすごく伝わってきます。
現在の住宅はシックハウスなどの換気対策で基本的に各部屋のドアの下が数センチ空いてます。
そのため部屋にいても下の階の音がよく聞こえてくるので、風邪で寝込んでいたり子供が勉強に集中したい時はうるさい!と感じるでしょう。
ただドア下のスリットは換気を維持しつつ回避できる方法もあるので、気になりそうな人は建築してくれる会社に事前に相談しましょう。
3:注意点
3-1:照明は多めに
吹き抜けは天井が2階の上にあるので、照明は1階の横の壁に付けることになります。
これがけっこう暗く感じます。
照明器具メーカーにシミュレーションをしてもらって決めたので、光の量は足りてるのですが、壁付けだと照明器具の一つ一つが小さいので感覚的に光が散って明るく感じません。
逆に普通の天井で中央にドーンと1個の大きな照明器具があると、見た目で明るく感じるし実際その下にいくと、さらに明るく感じます。
最初は全体に散ったぼんやりした明るさも、ホテルのラウンジみたいでいいかな?と思いましたが、子供が本を読んだり絵を書いたりするようになったら、暗くて目が悪くなりそうと感じるようになりました。
結局わが家は壁の照明をあとからほぼ1.5倍に増やしました。
これから吹き抜けを作る方は壁付け照明なら多めに付けるか、開放感は薄れますが上にデザインの良い梁などを渡して、そこに照明を付けることをおススメします。
やはり真上から大きな照明器具が照らしてくれる明るさにはかないません。
ただ吹き抜けのさらに上の天井に照明を付けても、間接照明程度の明るさにしかならないので注意して下さい。
3-2:2階の間取りに制限が出る
吹き抜けは2階にもスペースを取ってしまいます。
吹き抜けにメリットを感じない人はこれを無駄と呼びますが・・・
そして2階に一般的な寝室、子供部屋✕2を取り、吹き抜け(リビングと同等の広さ)を加えると相当な面積になるので、1階が通常の間取りだとキノコみたいな2階の方が大きい家になってしまいます。
1階にリビング・ダイニング・キッチン、洗面所、トイレ、風呂くらいでも、まだ小さいです。
プラスで和室をそこそこの広さで取ると何とかバランスが取れますが、トータルでは結構な大きさの家になって金額がアップしてしまいます。
そこでわが家は夫婦の寝室を1階にしました。
和室はもともと作る予定が無かったけど、どうしても吹き抜けは欲しかったので取ったアイディアです。
老後に2階に上がらなくて良く、出勤前や帰宅後の着替えも楽なのでやって良かったなと思ってます。
実際に建てる時は設計士の人と相談しながら考えるのですが、何かしら工夫が必要になることは知っておいが方が良いです。
3-3:ホールに繋がっていると匂いが上がる
わが家は共働きなので夜洗濯物が干せるようにホールに洗濯干しスペースが取ってあります。
このホールは吹き抜けとつながっているのですが、なんと1階のキッチンでの料理の匂いがそこまで上がってきます。
ちょっときつめな匂い、例えばキムチ鍋や何かを焦がしてしまった時の匂いは換気扇を回していても上がってきます。
ということは洗濯物が干してあれば匂いが付くことに。
まあたまになのですが人と会う時など気になるので、ホールと吹き抜けの間にロールスクリーンを設置しました。
おかげで匂いが洗濯物に付くこともなくなり、しかも下ろしておくと冷暖房の効率もアップすることを発見。
おススメです。
4:シーリングファンについて
4-1:冷暖房への効果は限定的
シーリングファンは吹き抜けによく付いていますが、これは冬場は温まった空気が上に上がってしまい1階が温まらないのを防ぐためです。
上向きに回転させ空気を天井に当てて側面の壁伝いに温かい空気を下ろしてあげます。
こうしてかき混ぜることで部屋が温まるのが早まるのです。
イメージでは下向きの回転にしてしまいそうですが、ファンの風が人に当たると寒さを感じてしまうので、上向きに回すのがポイント。
吹き抜けは空間が大きくすぐに温まならいので少しでも早めるためですね。
一方夏は下向きの回転にするとファンの風に当たれて涼しい、との意見が見られますがこれは普通の部屋の場合です。
吹き抜けの場合は上の温かい空気が降りてきて涼しさが薄まってしまい、わが家では夏はあまり使っていません。
シーリングファンについて調べる時は、それが吹き抜けについての解説や意見かを確かめて参考にするよう注意しましょう。
4-2:掃除ができるようにする
作ってみて最も困ったな、と思ったのは掃除。
当たり前ですが掃除は手が届かずしにくいです。
しかしシーズンオフの春や秋に(わが家は夏も使わない)のでしっかり羽の上にホコリがたまります。
そして冬を迎えていざ回すと、上からホコリのシャワーが!
掃除のことを考えて間取りを考えましょう。
2Fホールの吹き抜けとつながっている場所から、クイックルの棒を持って思い切り手を伸ばして掃除してます。
ほんとは雑巾で拭きたいけどできないので残念。
まとめ
いろいろ書きましたが吹き抜けを取り入れたことはわが家としては大満足です。
もちろん欠点もありますが、それを吹き飛ばしてくれるくらい気持ちいいのが吹き抜けです。
欠点も初めからわかっていれば対策もできるし、建ててからがっかりすることもありません。
迷っている方は注意点を参考にしながら、ぜひトライしてみて下さい。